
石垣に行って、ひとつだけ、絶対にやりたかったことがある。
それがダイビング。
泳ぐことがすきというより、水の中がすきで、潜っているのがすき。
一番すきな泳ぎ方は?と聞かれたら、きっと潜水だって答えるだろう。
水の中をくゆらくゆらと、力を抜いて、たゆたってみる。
ときどき水の中で泡ぶくをつくってみる。
その泡ぶくがきらきらとひかって、上のほうにゆっくりとあがっていくさま。
それを下からじっと見るのがすき。
石垣に着いたのは夜の8時半をまわった頃。最終の便だった。
そしてその明くる日、朝の9時前にはすでに石垣港でウエットスーツを着ていたわたし。
黒々と、すてきに焼けたお姉さん(と思ったら自分より2つも年が下の、お姉さんだった!)。
彼女に海の潜り方、耳抜きの仕方などを教わった。
気づいたらもう海の上。
海上をすごいスピードで滑るように走り去っていくのは本当に気持ちよかった。
まずはシュノーケルで、海に慣れるための準備をした。
私は海の中に入るのは10年以上ぶりだったから、
海水がしょっぱいということがとても驚きだった。
そしてはじめは浮くことすらままならないのに、
ちょっとこつをつかむと、すいすいといけそうな感じがする。
もっと魚の近くにいきたいという気持ちになって、時間が経つのをすっかり忘れてしまう。
そしてダイビング。
いつもは想像もつかないところまで深く潜って、いつもだったら見られないような魚たちの
そばまでいく。いろいろな魚を見つけたけれど、わたしには「なまこ」の姿と感触が、
一番衝撃的でした。
そしてダイビングを体験して思ったことがあった。
ダイビングのおもしろさはまた違うところにあったなぁということだった。
人間の不自由さを、ダイレクトに感じれたことが私にはとてもおもしろい発見だった。
魚はあんなに身軽にゆうゆうと、広い海の中を優雅に泳ぎ回っている。
かたや人間はあんなに重たいタンクを背中にしょって、いろいろなものを体に身につけて
そしてやっとぎこちなく海の中で呼吸をしたり、よたよたと動き回れたりする。
地上では、人間がいちばん強くていちばん威張ってるように思う。
だけど、海の中に潜ってしまえば、人間はなんて不自由な生き物なんだろうって思う。
そう、海の中ではまったく地上のようにはいかない。
わたしは海の中で色とりどりのきれいな魚たちを見ながら、
とても恐縮したような気持ちになった。
この気持ち、実際に体験してみないと分からなかった気持ちだった。
その恐縮は、謙虚な気持ちに近いもの。
そして自然の威厳というものをしっかりと肌で感じた。
そして思ったのだ。
「自然はやっぱり、とても大切なんだ」ということを。
こんなにきれいなものや、こんなに小さくてもちゃんとそこで生きているものたちが
自分たちの勝手気ままな行動によってどんどん消え去っている。
罪はそこにはないのに、勝手に殺されてしまっている。
この理不尽さはやっぱり変えていきたい。
きれいなものを残したいからって言ったら、やっぱりそれも人間のエゴかもしれない。
だけど、あるもの、あるべきものが勝手になくされていくのはやっぱりおかしいと思う。
わたしは歴史上のすごい事件や革命とかが起こっても、
きっとそういうのはやっぱり他人事で、ちっとも自分の心には響かないかもしれない。
遠くのどこかでいたたまれないような事件が起こることより、
自分の家族や友人たちに、悲しいことが起こったほうが
何倍も何十倍も悲しいと思う。実感としてそう感じると思う。
それはきっとみんなそうだと思う。
実感がないものにたいして、それは違うとか、こうあるべきだと唱えるような活動は
本当はあんまりよくないと思う。
だから、実感を持てるような体験をもっとたくさんするべきなんだなぁって思った。
私は今回の旅で、自然と、石垣に暮らす人につながりを持つことができた。
これまでは、そこで何かが起こっても、遠くで起きた悲しいこと、どまりだったけれど、
これからは、あの時潜った海の中で起こっていること、
そしてあそこで暮らす○○さん達の身に起こったこと、として感じられる。
他人事じゃけっしてなくなる。そうなると哀しさも嬉しさも何倍にもなる。
他人事じゃなく、自分ごととして考えられることが、
たとえば環境とか、貧困とかあらゆる社会にある問題を考える上で、
解決の方向へむかっていくために、その手段を実行していく上でも
必要なことなのかもしれないと思った。
そういう意味では旅ってすごくいいと思った。
「行ってよかった」「楽しかった」どまりの旅ではなく、
そこに何らかのつながりをつくって帰ってくる旅はとてもいい。
こうやって私は私の中で、おもしろい発見をしたんだ。
こういう発見がたくさんあった旅だった。
それはどれもこれも、実際に体験してみて初めて、または改めて感じたことだった。
そんな私の小さな発見を、旅日記として、ちょこちょことおさめていってみようと思います。